選手としての情報発信を控えようと思った理由

まず(前提として)、すごい壮大なテーマに見えるかもしれないですけど、やることっていうのはすごくコツコツやっていこうと思っています。
もともと、情報発信を「サッカー選手」という立場を利用してやるのは、あまり気が進まないタイプでした。
とはいえ最初(からそう思っていたわけではなくて)サッカー選手という立場で「発信していこう」って思っていた時期もあった。
みんな知らないかもしれないですけど、僕、YouTubeを始めるの早かったんですよ(笑)。
それこそマインツでプレーしてたときに(2013-14、14-15シーズン)、試合ごとに僕が1分間ぐらい反省を話したりとか。それはフェイスブックでした。
――知りませんでした。
YouTubeでもメディアの人と一緒に企画を考えて、サポートしてもらって、佐藤由紀彦さん(清水エスパルス、FC東京、柏レイソルなどでプレーし14年に現役引退。現在FC東京コーチ)という僕の尊敬する先輩と対談をしてみたり。
そうやって結構、自分でも動くことや、(他にも)バラエティに出たりとか、若い頃は発信も大事だなと思ってやってきたんですけど、やっぱり何だろう……疑問に思うことが結構あった。
サッカー選手としての立場を使ってやる発信というのが「僕の評価」にしか繋がらないっていうことがある程度わかったんです。
――なるほど。
例えば(サッカーに関する)記事でも、もっと自分がやったことをデータにしたり、フィードバックしてくれたら、っていう思いがあって。もちろんメディアとして「ダメだった」か「よかった」かっていうのを(評価)してもらうのは正当だと思うし、それがメディアの価値だと思っています。
そうなんですけど、違った角度から僕ら選手を分析して、「じゃあこう考えてるんだったら、こうしないように次の選手たちはこうしていった方がいいんじゃないのか」っていう議論があったらいいな、と。
そう考えると、選手として発信することの限界を感じるんですね。結局、自分の立場から言うことって、どうしても伝わりにくいというのを、肌感覚ではあるんですけど、感じて、あんまり言わないようにしていました。
――なるほど。
その一方で、(発信よりアクションとして)同級生と一緒に(サッカーを中心とした)会社を始めたりとか、サッカーのアカデミーを作ったりしたのも、そういう「(岡崎慎司という)背景を出さずに」やることによって、(育成やサッカー界のためになることを)理解できるかなと思って始めた。でも、そういうことを含めてこっそりやっていこうっていうのがありました。
――岡崎慎司が立ち上げた、とかではなくということですね。
そもそも僕は現役を引退したら、表の舞台に出るんじゃなくて、どちらかといえば地域のサッカークラブとか、いろんな現地に行って(いきたい)っていうのは頭にあって。
そういうことを考えているときに、今回シンクロナスで、メディアの新しい価値への挑戦の話を聞いて、自分も同じように考えて、ここで何か新しい価値を「自分」じゃなくて、他の人にもアイデアをもらいながら掘り下げて生み出していけたら、もっといろんなものにつながるんじゃないかっていうのが(あった)。
要は、自分の経験がいろんなヒントになっていく場にできるんじゃないか、(それは)コンテンツにすることで可能性があるなっていうのをすごく感じたんですよね。