2月下旬の浅草・浅草寺の風景。コロナ対策分科会はまん防の適用解除の指針を示した(写真:つのだよしお/アフロ)

(沖 有人:スタイルアクト代表取締役)

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は3月11日、まん延防止等重点措置の適用を解除できるとする新たな政府案を提示した。

 従来は、新規感染者が減少傾向にあり、病床使用率も50%を下回っていることなどが重点措置の解除基準だった。それに対して、今回の新基準は、(1)新規感染者数が微増、高止まりでも、病床使用率などの医療負荷が軽減する見通し、(2)病床使用率は50%以上で推移していても、新規感染者数は減少傾向──のいずれかを満たせば、重点措置を解除できることになる。大きな方針転換である。

 このニュースを聞いた時に、私は家族にこのように説明した。

「大事な前提を説明していないが、経口薬によって重症化率は約10分の1になるので、死亡者数もこれに準じて減る。それを見越しての方針転換だろう」

「そして、この前提は新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを、結核や重症急性呼吸器症候群(SARS)並みに危険度が高い「2類相当」から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げることも同時に考えているのだろう。そうでないと、これまでの判断は何だったのかということになる。そのくらい、経口薬の効果は大きいということだ」

 もちろん、このタイミングで発表した背景には、18都道府県で3月21日まで継続する予定の重点措置を全面解除したいという意図があるのだろう。しかし、これまで感染者数の抑え込みに躍起になっていた分科会が180度見解を変えたように思えるほど、違和感が強い。

 現状水準はこれまでと比較しても、新規感染者数、死亡者数ともに最高水準で推移している。解除という結論をうんぬんする前に、そこに至る過程を丁寧に説明する必要があるのではないか。

 まず、これまでの感染の波を簡単に確認しておこう。