力士の贔屓筋を指す「タニマチ」の語源にもなった大阪市の谷町(中央区)のほど近くに、「悩み相談の総合コンサルタント」を謳う小さな事務所がある。

 この「タイムリー総合事務所」代表の田村和之さんは、長年にわたり、市井の人たちの借金問題や離婚トラブル、いじめなどの相談を受けてきた。

 今回は、ある交通事故に関するトラブルを田村さんが解決したケースを紹介しよう。

田村和之さん

(前回記事はこちら)https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69250

交通事故の後処理、「保険会社の言いなり」はトラブルの元

「交通事故ほど無駄な悲劇はないと思うんです。誰だって引き起こしたくはない。なのに起こってしまえば、加害者も被害者もとんでもない不幸に遭うことになるんですから。

 事故には必ず理由があります。車が関わる事故なら運転手の疲労に不注意も原因になる。だから運転手には健康、健全な状態でハンドルを握る責任があります。もちろんそれを肝に銘じている運転手さんも多いとは思うけど、人間がハンドルを握る限り、事故っていうものはなくならないものです」

 交通事故による死者数は年々減少傾向にはあるものの、2021年は2636人と、この数年は3000人弱の人が命を落としている。自動車の安全機能向上、ドライブレコーダーの搭載、刑罰の厳重化などで減ってはいるが、まだまだ悲劇は多く生み出されている。

「自分が交通事故の加害者になってしまった場合、引き起こした損害の補償には多額のお金がかかります。物に対する損害、そして被害者がいた場合にはその救済費用など様々です。

 その支払いのための調査というのは保険会社が行います。行政機関などの第三者ではありません。もちろん警察だってやってくれません。

『保険会社がやってくれるんだから間違いはないだろう』と考える人も多いかもしれませんが、実はそうでもありません。保険会社だってできれば自社の支払いは押さえたい。コロナ禍のご時世になり、より出し渋る現象が見られます。

 だから不幸にも交通事故の当事者になってしまった場合は、冷静になって判断しないといけません。保険会社から提示された額は果たして妥当なのか、としっかり考え抜くことが必要なんです」