ロシア・モスクワにあるレーニン像(出所:Pixabay)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 ロシアのプーチン政権による非道きわまりないウクライナ侵略が止まる気配もない。なぜここまで残虐なことができるのか、プーチンという人間の異常さを感じるしかない。「ロシア通」と言われる人々からはプーチンを擁護するかのような声も聞かれるが、信じがたいことだ。

 ロシア革命の指導者だったウラジーミル・レーニンは、ロシアには「大ロシア主義」があることを認め、ここからの脱却が必要だとしていた。「大ロシア主義」とは、ロシアの大国主義のことである。大国主義とは、国際関係において、経済力・軍事力に勝っている国がその力を背景として小国に対してとる高圧的な態度のことである。だからこそロシア革命が成功したとき真っ先にとった措置が、民族自決権を認めることであった。

 バルト三国はそれまでロシア帝国に支配されていたが、1917年のロシア革命の翌年に民族自決権を掲げて独立を果たした。ただ、第二次世界大戦の最中にまたしてもソ連に占領されてしまう。

世界の共産党に押し付けられた暴力革命方針

 1917年のロシア社会主義革命は、世界に大きな衝撃を与えた。この革命をアメリカ人ジャーナリストで社会主義者だったジョン・リードが描いたルポルタージュ作品『世界を揺るがした10日間』は世界で読まれた。ソ連を「労働者の祖国」などと呼んだ時代もあったのだ。