2月27日、モスクワにあるクルニチェフ国家研究生産宇宙センターを訪れたプーチン大統領(写真:ロイター/アフロ)

 仮想通貨(暗号資産)のビットコインが2月28日午後から急激に上昇、10%以上も値を上げた。3月1日もその勢いは衰えず、同日14時現在、4万3000ドル(約500万円)台前後を推移している。

 この急上昇の背景には、ウクライナに侵攻したロシアに対する経済制裁措置であるSWIFT(国際銀行間通信協会)締め出しが決定的になったことがある。通貨ルーブルの所有者がルーブル下落を恐れ、ビットコインに資産を移動させているようだ。

 実は1週間前のウクライナでは、ロシア軍の侵攻に備え、銀行の破綻を恐れた国民が自分の資産を仮想通貨のテザー(USDT)に変換する動きがあった。テザーは、米ドルと連動するステーブルコインであり、1ドル=1USDTとなるように固定されている。発行したテザーと運営主体のTether Limited社が所有する米ドルを同量にすることで価値が保たれる仕組みだ。先週ウクライナで見られた行動が、現在ロシアで見られている、とも言える。

イラン経済に大きな打撃を与えたSWIFT締め出し、ロシアにはどうか

 SWIFT締め出しは「金融の核爆弾」とも呼ばれている。2012年、イラン核疑惑の際にもイランに対しSWIFT締め出しの制裁措置がとられた。その結果、当時のイラン経済のGDP成長率はマイナス7.4%に落ちた。

 その経験則に従えば、今回の措置でロシア通貨市場は大打撃を被ることになる。

 ロシアの株式市場を示す指数であるRTS指数は、ウクライナ侵攻を機に50%以上の大暴落を見せた。

 またSWIFT締め出しの方針を受け、2月28日にはロシア・ルーブルは大暴落した。すでに30%以上下落しており、1ドル=110ルーブル前後となっている。ブルームバーグ通信によると、ロシア国内金融機関は今回の件で1ドル=100ルーブルの為替レートを提示しているという。