男子スノーボードハーフパイプで金メダルを獲得した日本の平野歩夢選手(2月11日、写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 オリンピックという表向き平和の祭典とされるスポーツ大会の期間に、これまでも多くの国際的問題が出来した。

 今回の北京五輪においては、開催国がジェノサイドを進行形で行っているとされながらカムフラージュし、五輪終了間際には北京五輪組織委員会の報道官が「ウイグル問題は嘘」だと政治的発言を行った。

 開会式では、台湾呼称で国営中央テレビが約束を違えるなどの政治工作が見られた。

 また、未検証ながら、各種競技で自国選手を表彰台に立たせるため、外交的ボイコットや政府高官を派遣しなかった国、さらには関係悪化の要因をはらむ国の選手に厳しい判定をしていると囁かれている。

 習近平国家主席は国家主導のドーピング違反による制裁で国家としての参加が認められていないロシアのウラジーミル・プーチン大統領を招待し首脳会談まで行った。

 そのロシアはウクライナを取り囲むように演習と称して10万人ともいわれる兵力を展開し、国際情勢の緊迫をもたらしている。

 こうした状況から、北京五輪やウクライナ問題に関し、対中・対ロ関係で日本政府の姿勢が問われる事態となった。

日本と米欧の思考法の違い

 日本と価値観を同じにする米欧諸国は対中・対ロ非難決議を積極的に行い、かつ制裁にも前向きの対応をしたのに対して、日本は鈍重の感を免れなかった。

 日本が対中・対ロ非難決議に逡巡している間に、外交的ボイコットを最初に早々と打ち出した米国では、下院が北京五輪の始まった日に先端技術分野で競争力強化を図る「対中競争法案」を可決し、将来を見据えた強かさを見せている。

 日中・日露関係は歴史的かつ地政学的に米欧とは自ずと違うという見方もある。

 日本の決断などが往々にして遅れがちになるのは、底流にある日本の歴史と伝統に基づく思考様式(他国と異なる)や感性が関係しているに違いない。