ブリュッセルのスカールベーク地区にはスカーフで頭を覆うトルコ系住民も(筆者撮影、以下同)

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 フランス、ドイツ、オランダと国境を有するベルギー王国は欧州の中心にあり、古(いにしえ)から交通の要衝でもあった。小国でありながら、欧州委員会や欧州議会、欧州理事会といったEU(27カ国加盟)の中枢機関を擁するのも、地理的な理由からだと言われている。

 そんなベルギーは現在、欧州の中で多くの移民が暮らす国の1つだ。

 ベルギーの首都ブリュッセルには、世界遺産にも登録された石畳の広場「グランプラス」がある。新型コロナ禍によって外国からの観光客は姿を消したが、今もさまざまな国籍の人々が集まり思い思いの時間を過ごしている。それは、ブリュッセル住民の多国籍化が進んでいるからでもある。

 ベルギーは、フランス語、ドイツ語、オランダ語という3つの公用語を持つ多言語共同体であり、さらにフランデレン、ワロニー、ブリュッセルという3つの地域圏から成る複雑な連邦国家だ。昔から異なる言語や文化を認め合いながら、1つの国を築いてきた。統計調査プラットフォーム「Statista」によれば、2020年のベルギーの人口は約1149万人で、そのうち外国籍の人口が約142万人(約12.3%)を占める。