世界中で開発・生産競争が激化し始めているEVにとってもレアアースは欠かせない

 2021年のクリスマス直前、中国は世界戦略の一環と目される新しい事業を公表した。

 レアアースの採掘分野でビジネスを展開している大手企業3社の合併である。

 世界的にも大手といえるレアアース3社が統合されることで、アジアにおける中国の同分野での優位性がさらに高まることになる。

 今回の統合によって中国はレアアース市場での独占を目指しているとの指摘もある。

 それにより、企業規模と競争力の観点から、同企業は「空母」に匹敵するとの比喩が使われてさえいる。

 そもそもレアアースの現状はどうなっているのか。

 レアアースは標準的なスマートフォンから最先端の軍事機器に至るまで、ほぼすべての電子機器に不可欠な金属である。

 ユウロピウムやネジウムといった計17種類の希土類元素を指し、総称がレアアースだ。

 文献によって数字は異なるが、中国が世界のレアアース供給量の約8割を占めているとの見立てもあれば、米政府内の科学研究機関である米地質研究所(USGS)は、世界の生産量の58%が中国であるとしている。

 中国共産党中央委員会の機関紙『環球時報』は2021年5月、「中国が米国へのレアアース輸出を禁止した場合、米国は非常に深刻な事態に陥る」と書いている。