遺体の病理解剖から分かることは多い

 日本国内の新型コロナウイルスの新規感染者数が8月末から減少を続けている。

 8月中旬には2万人を超える日もあったが、最近は200人前後で落ち着いている。

 ただ11月に入り、東京や大阪などでは感染者数が再び増加に転じており、第6波の到来が危惧されている。

 世界に目を転じても、新規感染者数はこのところ上昇傾向が続いている。10月中旬、全世界の新規感染者は30万人前後だったが、最近は再び50万人台に乗っている。

 すでにウイルスが特定され。感染経路も判明しているが、「撲滅」という言葉を使うまでにはまだ月日がかかりそうだ。

 というのも、コロナについてはまだ判明していないことが多いためで、ウイルスの患者への影響などを含めて、いまだにすべてが解明されているわけではない。

 例えば、コロナに感染した人のおよそ10人に1人は、世界保健機関(WHO)が「ポストコロナ状態」と呼ぶ症状を経験しており、同症状が数カ月間続くことがある。

 症状は発熱、倦怠感、咳、筋肉痛、頭痛、味覚・嗅覚異常、喉の痛み、吐き気、下痢などで、原因は諸説あるが、明確に特定できているわけではない。

 ブルームバーグの報道によれば、いま必要なのは剖検(ぼうけん・病理解剖)ではないかとの見解が医学者の間に広まっているという。

 というのも、剖検を行うことでコロナウイルスがどのように身体に影響を与え、患者を死に至らしめたのかの深い知見が得られると考えられるからだ。