米中両国の間でしばらく前から「デカップリング(分断)」すべきなのか、それとも「カップリング(結合)」しておくべきかとの議論が交わされている。
これは端的に述べれば、中国との関係を緊密にしておくべきか否かということで、大きな政治・経済決断が必要となる。
両国間には貿易問題だけでなく、地政学的問題、さらには人権問題や環境問題なども加わり、以前よりも不確実性が高まっている。
中国は経済活動におけるナショナリズムが以前よりも強固になっているとの見方があり、米国内には中国への関心を相対的に低下させるべきとの声もある。
中国とのデカップリングを最初に説き始めたのは、ドナルド・トランプ政権時代の主席戦略官だったスティーブ・バノン氏で、2018年に同氏は「米国は中国をデカップリングすべきだ」と主張したことが始まりと言われている。
いまの米中両国は経済や政治だけでなく、2022年北京冬季五輪での外交的ボイコットなど、関係は相変わらずギクシャクしたままである。
経営学誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」によると、いまは中国の方が米国をはじめとする外国への依存度を低下させているという。
「中国は15年以上前から、外国の技術や製品への依存度を下げるという長期的な戦略をとっており、同戦略は今後15年先まで見越していて、デカップリングはこれからも継続されるだろう」
一方、米国の企業経営者の中には、デカップリングには異を唱えている人たちが少なくない。
「10年以上の歳月をかけて中国市場に進出して、ようやく波に乗ってきたのに、いまになって撤退することはできない」