駐日大使に決まったラーム・エマニュエル氏(10月20日撮影、写真:picture alliance/アフロ)

中国大使は決まったが、韓国は後回し

 米上院は12月18日から来年(2022年)1月上旬までクリスマス休暇に入った。

 休会直前の18日、ニコラス・バーンズ駐中国大使、ラーム・エマニュエル次期駐日大使、キャロライン・ケネディ駐豪大使人事を承認した。

 ジョー・バイデン大統領は駐印大使にはロサンゼルス市長のエリック・ガルセッティ氏をすでに指名していたが、上院の承認は間に合わなかった。

 アジア外交通から見れば、上院が認めた3大使は、バイデン大統領の外交安全保障政策の最重要アジェンダである「中国」とこれに立ち向かう同盟国・日豪に送り込む飛車角的存在だ。

 日本はアジア太平洋地域での米外交の要であり、日米豪印の「クアッド」の軸、豪州はクアッド、米英豪の「AUKUS」双方の一員だ。

 軍事経済両面から米国を脅かす中国の首都に国務省きっての大物職業外交官を送り出すのも頷ける。

 だがバーンズ氏は欧州、中東外交のプロであっても、アジア太平洋外交を手掛けたことはない。外交専門家の一部には懸念する声もある。

 考えてみれば、何かあれば米大統領はこれら主要国とはいつでも電話で話ができる。オンライン形式の首脳会談もできる。

 それにアントニー・ブリンケン国務長官はいつでもどこへでも飛んでいける。かつてのようにマイク・マンスフィールド上院院内総務のような超大物を駐日大使に送り込む必要はなくなってきた。

 その意味では北京や東京に大統領に近い大物を駐在させる外交実務的な理由は薄らいできた。