(藤谷 昌敏:日本戦略研究フォーラム政策提言委員、元公安調査庁金沢公安調査事務所長)
本年(2021年)6月、「重要土地利用規制法」が成立した。この法律の目的は、中国に代表される外国資本が不適切な目的で日本の土地を取得し、利用するリスクを減らすことである。
自衛隊の基地など日本の安全保障上、重要な地域での土地利用を規制する法律であり、施設の周囲およそ1キロメートル内や国境近くの離島を「注視区域」とする。区域内で大きな構造物を立てて電波を妨害したり、ライフラインを寸断したりするといった日本の安全保障を脅かす土地利用を確認すれば、所有者に中止を勧告・命令できる。中止勧告や命令に従わない場合は懲役2年以下か罰金200万円以下を科す。さらに司令部といった機密情報が集まる拠点の周辺などは「特別注視区域」とみなし、土地売買に事前の届け出を義務付ける。
区域指定の具体的な判断基準を盛り込んだ基本方針を閣議決定した後、2022年度中に運用を始める。電波を妨害しかねない構造物の高さや土地調査の方法もあらかじめ定める。中国による基地周辺での森林買収などの事例を受け整備した。