立憲民主党の枝野幸男代表。総選挙での敗北を受け、代表を辞任することになった(写真:つのだよしお/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 10月31日に投票が行われた衆議院選挙は、蓋を開けてみたら予想外の結果であった。自民党が単独で絶対安定多数を確保したことで、自民党と公明党の与党は国会運営で苦労するような事態にはならなかった。これに反して、躍進すると予想されていた立憲民主党は議席を減らしてしまっている。

事前の情勢調査で「与党優勢」を伝えた朝日、「野党躍進」を伝えた産経

 マスコミの選挙予想が大きく外れてしまったことが、今回の選挙の特色である。実例をいくつか見てみよう。

 朝日新聞(10月23、24日調査)によると、「自民党は過半数確保、立憲民主党は横ばい、公明党は現状維持、維新は3倍増、共産党は議席増、国民民主党は現状維持」である。序盤の状況なので、この段階では調査の精度を評価出来ない。

 同じ日に調査を行った産経新聞は、「自民党過半数維持も30議以上減らしそうで予断は許さない。立民は大きく躍進。公明は苦しい。維新は3倍増。共産は躍進。国民も伸びる。」と予測した。

 朝日新聞が与党優勢を、産経新聞が野党躍進を伝えているが、もし政治的意図を調査結果に加味しているのなら興味深い。一般的に、自分の支持する政党が「苦戦している」と報道するのは、一層の奮起を促すためである。そして、自分の支持しない政党を「有利」と予想するのは、敵陣営が安心して油断して失敗するのを期待するからである。

 両新聞の政治的スタンスを考えると、まさにピッタリするが、本当のところは不明である。