ベイスターズにコーチとして復帰する斎藤隆氏。写真は2010年5月、アトランタ・ブレーブス時代(写真:AP/アフロ)

 来年はリーグ優勝しかない。追い詰められた球団はようやく本腰を入れたようだ。横浜DeNAベイスターズが11月3日、の斎藤隆氏と鈴木尚典氏、小杉陽太氏のOB3名と来季のコーチ契約を締結すると発表した。

 ここで目を引くのは、言うまでもなく現役時代にチームを1998年の日本一へと導いた斎藤氏と鈴木氏のレジェンドOB2人のコーチ就任だろう。横浜一筋の現役時代に首位打者を2度獲得した鈴木氏は「ハマの安打製造機」と称され、引退後の2010年に1シーズンのみ一軍打撃コーチを務めている。

 一方の斎藤氏は横浜で先発、クローザーとして13年間プレーした後、MLBへ移籍しロサンゼルス・ドジャース、ボストン・レッドソックスなど5球団で5シーズンに渡って活躍を遂げた。2015年に東北楽天ゴールデンイーグルスで現役を引退し、サンディエゴ・パドレスで編成業務などフロントに3年間従事した後、昨季は東京ヤクルトスワローズで投手コーチの職に就いて一軍ベンチに携わった。群雄割拠のMLBで「サミー」の愛称をつけられるなど米球界で屈指のリリーフとして実績を残した斎藤氏は満を持して、実に17年ぶりに古巣の横浜へ来季から復帰を果たすことになる。

いち早く動き出したフロント

 今季のDeNAは2015年以来、6年ぶりのセ・リーグ最下位に沈む屈辱を味わった。球団のレジェンドエースで「ベイスターズの顔」とも言うべき存在の三浦大輔監督が球団内、サポートする横浜経済界、そして多くのファンから待ち望まれて二軍監督から一軍指揮官へ昇格したにもかかわらず、就任1年目は惨憺たる成績に終わってしまった。この事実は如何ともし難く、いわゆる「ソフト路線」に重きを置いた感のある三浦監督の手腕を問う声も当然否定できない。

 しかしながら「三浦監督を満足にサポートできなかった」としてフロントの怠慢を糾弾する声が多いのも事実だ。特にコロナ禍を巡る書類手続き上のミスにより、来日が大幅に遅れてネフタリ・ソト内野手やタイラー・オースティン外野手、エドウィン・エスコバー投手、新外国人選手のフェルナンド・ロメロ投手ら全助っ人勢が12球団で唯一開幕を過ぎてもチームに合流できないという大失態を招いたフロントの責任は三浦監督よりも遥かに“重罪”である。