“成金”と政権幹部の子供を結びつけるマダンパル

 北朝鮮の最高位層は高い地位を長く維持できる一方、権力に経済力が追いつかない。だが、彼らより下位の中級幹部は利権事業に手を染めやすく、裏金を手にしている。それゆえに、北朝鮮の権力層は子供の結婚相手を選ぶ際に、経済力を求める人が少なくない。

 それに対して、新興経済勢力の方は権力がある家系との政略的な姻戚関係を望んでいる。金を守り、呼び込むためだ。

 このような政経癒着の需要に目をつけたのが、結婚仲介業者たちである。平壌のマダンパルは地方の有名なクモの手と組み、多くの結婚相手を紹介して金を受け取り、利権を獲得している。

 北朝鮮の権力層に、金に無頓着でいられる家門はない。表向きは金正恩総書記だけを信じて忠誠を尽くすが、親戚や姻戚に金主がいる。その政経結婚を成功させているのがマダンパルとクモの手である。

 2018年頃、朝鮮労働党・組織指導部副部長の息子と平安北道新義州市のチョンソン貿易会社社長の娘の結婚式が執り行なわれた。

 別名「ソ・ジェガク結婚式」と呼ばれる超豪華な結婚式だった。ソ・ジェカクは、平壌市普通江(ポトンガン)区域に位置する護衛司令部招待所の外貨食堂で、料理と接客サービス係、料理人は一般的な者たちではなく、護衛司令部料理大学所属の政府料理人と接客員が担っている。

 結婚式や還暦祝いなどの会場としても使われており、半日のレンタル費用は5万ドル。料理やカラオケ、祝賀公演といったフルオプションだと10万ドルを下らない超豪華な宴会場だ。

 政経癒着の力を誇示して執り行なわれた結婚式が話題となり、最高指導部にも報告された。政治的に問題になりかねない式だったが、労働党組織指導部の金与正副部長とそのマダンパルに親交があったことから軽い警告で済んだ。ただ、その後に問題が発生した。

北朝鮮で有数の外貨食堂ソ・ジェカクのある平壌市普通江(ポトンガン)区域(Christophe95, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)