中国の習近平国家主席(写真:新華社/アフロ )

 10月1日の国慶節(中国建国72周年記念日)以来、中国の人民解放軍機による「台湾来襲」が続いている。台湾が敷いた防空識別圏を無視して、上空への「侵入」を続けているのだ。

 1日が38機、2日が39機、3日が16機、4日が56機・・・。昨年は1年間で約380機だったので、「爆増」していることが分かる。

 10日には、台湾が「双十節」(中華民国の開国記念日)を迎えるが、「中国vs台湾」の対立は日増しに激化し、改めて朝鮮半島と並ぶ「アジアの火薬庫」であることが浮き彫りにされた。日本では4日に、岸田文雄新政権が始動したが、岸田政権は「中台対立」の渦の中で、難しい対応を迫られることになる。

 そんな中、このほど新著『台湾vs中国 謀略の100年史』(ビジネス社刊)を上梓した。現在の「習近平政権vs蔡英文政権」の対立を歴史的に分析することで、今後の展望を読み解こうという試みである。

中国の戦略を知るためには彼らの「歴史的思考」を理解せよ

 なぜ歴史的分析が必要なのか? それは中国側が、「歴史的思考」に基づいて台湾統一を目指しているからである。

 その一例を挙げよう。中国共産党中央委員会傘下の国際紙『環球時報』(10月3日付)は、「これが国慶閲兵の台湾海峡への移動だ! 解放軍の行いは美しい!」と題した社説を掲載した。以下にその全文を訳す。

<10月1日に、38機の戦闘機が出動した後、解放軍は2日に39機の戦闘機が出動し、台湾の「西南防空識別区」に進入した。これはすでに連続2日の解放軍の該当地域への大規模演練記録更新であり、島内の民進党当局は新たな激震を受け、アメリカなど西側世論は議論紛々となっている。

 解放軍の行いは美しい! 見るにつけ、これはもう一つの形式の国慶節の空中閲兵だ。その場所は天安門広場から台湾海峡に移り、明確に間違いなく中国の台湾に対する主権を明示したものだ。この行動と共和国成立72周年の日は十分マッチし、全国の人民を極大に鼓舞した。また国慶節の特殊な意義に、新たな突出と強調をもたらすものとなった。