一度に大勢の女性を平壌に連れてくるために考えた言い訳

 一度に多くの女性を平壌に連れてくると噂が立つのではないかと考えた金正恩総書記と側近は、党6課に出した通達文で、「(金正恩が)自ら仲介者となり、全国の家柄や気立ての良い娘と中央党の子弟や闘士の子弟との縁を取り持つ」と、その意図を説明した。

 金正恩体制になった後、後に解体される党5課は一時「配慮花嫁」、別名「贈り物乙女」を選抜し、由緒正しい家柄の幹部の子と結婚させるという業務を担当していた。その他、厳格な秘密厳守が求められる護衛局や護衛所の新任指揮官に花嫁を紹介するため、妙齢を過ぎて引退した党5課の女性をあてがうなどしている。

 それもあって、今回のこんな弁明が出てきたわけだ。全国から美貌の女性を多数連れてくるのは、自分のためではない。側近や抗日闘士の子孫らの花嫁、あるいは家政婦にリクルートするのが目的なのだと。しかし、その説明をそのまま鵜呑みにする人間は、北朝鮮でも多くないと思われる。

 北朝鮮の歴代の指導者が女性に執着するのが、家系のせいなのか独裁者の性なのかは分からないが、女性捜しは1日にただの1回の食事も十分にできずに飢えに苦しんでいる2500万の北朝鮮の住民に対し、まともに配給くらいはしてからにすべきではないか。

 世の中に隠し通せる秘密はない。 厚いベールで何重にも隠された主席宮の秘密も、結局はすべて明るみに出る。 権力の一時的な安定に気を緩め、女遊びから手を付けた金正恩総書記の愚かなふるまいも必ず暴かれる。そして北朝鮮の住民はもう二度と、大切な娘を金正恩総書記の慰みものにするために、差し出すことはないだろう。