9月22日のレアル・マドリード戦に「17番」をつけて出場したマジョルカの久保建英(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

 地元紙「ウルティマ・オラ」が報じた一枚の写真が、マジョルカファンを不安に陥れた。

 写っていたのはレアル・マドリード戦後、チーム宿舎の入り口で松葉杖をつく久保建英の姿だ。試合中に久保は膝を痛めハーフタイムに交代していた。大したことはないだろうと見られていたが、この写真はそんな楽観論を吹き飛ばすのに十分だった。

 全治は約1カ月といわれており、1部残留を目指すマジョルカと10月にワールドカップ最終予選を戦う日本代表にとって大きな痛手となった。両チームにおける久保の重要性はいうまでもない。しかし鎌田大地、南野拓実、伊東純也、堂安律、原口元気ら2列目に複数の選択肢を持つ日本代表よりも、限られた戦力で残留を目指すマジョルカの方が久保不在の影響は大きい。東京五輪を経て、シーズン序盤でも輝きを見せた久保はマジョルカで日々存在感を増しつつあるからだ。

「チームを任せられる選手」

 マジョルカのスタジアムのスタンドを見渡すと、2つの久保建英のユニフォームを見ることができる。

 ひとつ目は背中に26番がついている。久保がマジョルカでリーガデビューを飾った、2季前のユニフォームだ。あの年、マジョルカは2部に降格することになったけれど、久保はこの島にとてもいい印象を残して去っていったので、ユニフォームが転売されることもなかった。いまも26番をつけるファンは、俺はあの時から久保を応援していたんだ、とでもいうようにどこか誇らしげだ。

 そしてもうひとつのユニフォームは、17番がついた今季のユニフォーム。見たところ、総数ではまだ26番の方が多いけれど、新たな番号をつけたファンも試合ごとに増えている。久保はチームにおける重要なピースとなり、マジョルカの攻撃の中心にいる。2季前の活躍を超えるシーズンになる――誰もがそんな期待を抱いている。

 スタンドで「TAKE 26」のユニフォームを着たファンが口を揃えるのは、久保の技術と創造性だ。

「うちには走ったり、頑張れる選手はたくさんいる」

 毎試合、メインスタンド上階から試合を眺めるダビはいう。間隔が空いた客席を見ると少し寂しいというけれど、試合が始まればそんなことも忘れて声援を送る。

「でも、久保みたいなタイプはいなかった。周囲を驚かせて、何かを生み出してくれるような。最初に久保がマジョルカにきた時はまだ18歳になったばかりだった。あれから2年。選手としても頼れるようになったし、チームを任せられる選手だ」

2季前から久保を応援していたマジョルカのファンは、今も「26番」のユニフォームを着てスタジアムやってくることを誇りにしている(筆者撮影)