例えば、車のナンバープレートなら間違いようがありませんが、顔認証システムにはそもそも精度に限界があり、無関係の人が被疑者扱いされる可能性もある。

 まして「マスク」の目だし状態です。個人の特定はまず「不可能」。

 機械学習のもととなるデータベースのサイズや精度によっては、特に外国人などマイノリティの弁別は困難。

 しばしば指摘されるのは、米国の黒人(特に女性の)顔識別精度は低く、2020年に米国を揺るがした「ジョージ・フロイド殺人事件」も、警察側の誤ったAI顔認識情報が背景にあった可能性が指摘されています。

 マスク着用の義務化は、「顔誤認」を強く後押ししていますが、こうしたAI倫理的な話題は、読売の第1報で紹介される「専門家」の誰も何も発言していません。

「専門家」の一人として補っておきます。

 こうしたグローバルな顔認証倫理のトレンドや、マスク着用による変質もグローバルな現象で、東京大学ゲノムAI生命倫理研究コアが体系だって扱っているトピックスです。

 今回は紙幅が尽きましたが、違う切り口の別稿でご紹介できればと思います。