北朝鮮と交流する上で、映像は魅力のある分野だ。映画やメディアの制作会社が、一度は北朝鮮との共同制作や合作を考えるほど、北朝鮮に関する映像は希少性が高い。そのため、隠しカメラで北朝鮮を撮影する人もいるが、生半可に接近して資本主義的な方法で北朝鮮を撮ろうとしたら、手に負えない結果につながる。
一方、徹底的に知って接近すれば、意外な結果を得ることがある。北朝鮮人より北朝鮮らしい事例「アンナ、平壌で映画を学ぶ」(https://www.amazon.co.jp/dp/1520048378)を見てみよう。
(過去分は以下をご覧ください)
◎「北朝鮮25時」(https://jbpress.ismedia.jp/search?fulltext=%E9%83%AD+%E6%96%87%E5%AE%8C%EF%BC%9A)
「アンナ、平壌で映画を学ぶ(Aim High In Creation!)」はオーストラリアの映画監督アンナ・ブロイノフスキーが2013年に制作したドキュメンタリー映画だ。アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭で紹介された後、ソウル国際女性映画祭やDMZ国際ドキュメンタリー映画祭で上映され、大韓劇場でも上映された。
大規模な天然ガス採掘の脅威が始まったオーストラリアのシドニーで、家族と村の安全を守る宣伝映画を作ろうと決めた映画監督のアンナが産業資本主義に立ち向かうため、北朝鮮の映画関係者から北朝鮮式宣伝映画の制作を学ぼうと考えて平壌入りする──というストーリーである。
実際に北朝鮮入りしたアンナは北朝鮮の映画監督に映画を教えてもらいながら平壌の街並みや人々を撮影。最終的に北朝鮮風のメロドラマをつくり上げる。その様子を描きながら、北朝鮮の内情を浮き彫りにしている。
そんなアイロニーに満ちた映画は、北朝鮮と映像で交流するアプローチを示した作品と言える。北朝鮮映像の固定観念を打ち破って作り出した映画であることは間違いない。
アンナ監督は大韓劇場で行われた試写会と記者懇談会で次のように述べた。