内田篤人、現役引退後初の著書のテーマはメンタル。発売2週間で重版が決定するなど『ウチダメンタル』が話題を呼んでいる。その考え方は独特で「強い・弱い」ではなく「上か下」でメンタルを捉え、その振れ幅が少ない人ほどいいパフォーマンスが発揮できる、というものだ。
「隅っこ」のポジション
こうやってメンタルを捉えるようになって、変わったのは人の見方・ものの見方だと思う。もともと、斜に構えているところはあったけど、でもね、高校生のころまではマジで純粋ないい子だったんだよね。周りの人は信じてくれないかもしれないけど。
鹿島に入り、日本代表にも呼ばれ、いろいろな経験をしながら僕は、自分なりのメンタル管理法を身につけていった。
そして、それに合ったものの見方ができるようになってきた。
もともと、サイドバックって「隅っこ」のポジションだから、人とは違ったサッカーや姿が見えるのかもしれない。
言いたいことをサラッと言う。そんなふうに指摘されたこともあったけど、ものの見方がちょっと人と違うのかもしれないし、そういう見方で感じたことをそのまま口にするからじゃないかな、って思っている。
例えば、アスリートとして自分を律する、ということ。
規則正しい生活をして、栄養バランスを考えて、しっかりとした睡眠をとる。自分と厳しく向き合うのがアスリートの務めだし、大事なことだと思っている。
鹿島に入ってから、最初のうちはちゃんと「自分を律する」ことをしていた。でも、さまざまな経験をしていくうちに、それじゃあつまんない、縛られたくないって思うようになった。
それから、少しずつ自分のやり方を変えていった。試合前はしないけど、それ以外の日だったら夜更かししてゲームをしてもいい、とか、遊びに行ってもいい、とか、自分で最低限のルールを決めながら、ストレスを感じない方法を選択した。
大事なのは結果であり、勝利だ。夜遅くまでゲームをする日が続いて試合に勝てなかった、パフォーマンスが悪かった、としたら、そのときにそのスタイルを変えよう、って。
必然的に、言葉もそうなっていく。そもそも差しさわりのない、嘘っぽい言葉が嫌いだから、思ったように言ってしまう。サッカー選手として、夜更かししてるのは良くないんじゃない? とか、女の子と遊びに行くのは我慢したら? なんて聞かれたら、「いやー、関係ないでしょう。そこで我慢してプレーが悪くなるくらいだったら、そうじゃないほうをとりたいって僕は考えます。もし、結果が出なかったら、変えなきゃいけないけどね」って。