6月26日、ヤンゴン市パベダン郡区でクーデターに対する抗議デモをする市民(写真:AP/アフロ)

 クーデター以後、軍政が立法、行政、司法を掌握し、反軍政を唱える国民への弾圧を続けているミャンマーで、また大きな悲劇が起きた。中心都市ヤンゴンなどで起きた反軍政の市民運動に参加したとして逮捕された64人の「被告」に対し、軍事法廷が6月24日までに死刑判決を下したことが明らかになったのだ。

 64人の中には17歳と15歳の少年という未成年2人がふくまれているとされ、人権団体などが激しく抗議している。

冤罪の可能性ある死刑判決が続々

 これは6月25日に米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」がミャンマー発で伝えたもので、死刑判決を受けた64人はクーデター支持者の殺害や軍兵士殺害に関与したなど個別の反軍政活動が問題とされ、軍事法廷で死刑判決を受けたという。RFAが情報源から得た話では、64人は死刑判決を受けたものの、これまでのところ刑を執行されてはいない、という。

 ミャンマーでは1998年以降、裁判で死刑判決が下されても、その後に終身刑に減刑されるなどして実質的に死刑執行は長い間行われてこなかったとされる。しかし今回の軍事法廷による死刑判決で実際に刑が執行されれば、新たな社会問題、人権問題となる可能性が高い。

 そもそも、RFAが伝えた複数の「被告」や「被告家族」の声によれば、ほぼ全ての「被告」が問われた容疑との関わりを否定しているだけでなく、軍事法廷で十分な弁護活動が行われたのかについても大きな疑問が呈されている。となると、冤罪による立件や不公正な裁判が行われた可能性さえある。