マインドフルネスの語義は「注意を集中する」です。一瞬一瞬の呼吸や体感に意識を集中し、「ただ存在すること」を実践し、「今に生きる」ことのトレーニングをすることで自己受容、的確な判断、およびセルフコントロールが可能となるというアプローチです。アップルやグーグルなどの大企業が社員の健康を維持向上する取り組みとしてマインドフルネス瞑想を導入したことでも、知名度が高まりました。
アメリカで多数立ち上がるスタートアップ
ウェルビーイングに率先して取り組んでいるのはアメリカやヨーロッパですが、近年ではオーストラリアなどでも注目を集めています。そうした国の企業は、「人がどう生きてゆくか」を起点として、企業のあり方や、自社の提供価値の根幹に立ち返り、「社会や生活者が自社の商品、サービスを通じてどのような幸せ像を描くことができるか」「そのために企業はどのように変革を遂げるべきか」を経営全般のアジェンダとしてとらえるようになってきています。
アメリカでは、すでにその領域を事業とするスタートアップが多数立ち上がり、総額1兆円規模の投資を集めている(2020年実績)というニュースも聞かれます。
それに比べればまだまだ規模は小さいながらも、日本においてもここ数年、ウェルビーイングをテーマとした具体的なサービス・ソリューションが今非常に注目を集めはじめています。例えば、ウェルビーイングを習慣化するコミュニティプラットフォーム「Nesto(ネスト)」を運営する 株式会社NESTOは、4月にシードラウンドで1億円を調達しています。
もともとは医療や看護、福祉の世界の言葉だったウェルビーイングが社会全体に広がり、新たなビジネスも生み出しつつあります。なぜ今、人々はウェルビーイングを求めているのか、次回はその理由をみていきます。
(つづく)
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