一般的に幸福というと多く人がイメージするのは「Happiness(ハピネス)」かもしれません。「Happiness」は、どちらかと言うと短期的で瞬間的な幸せを意味する一方、ウェルビーイングは人生における長期の持続的幸せという意味として考えられています。つまり、ウェルビーイングは生き方そのものであり、ウェルビーイングを目指すことは、「より良い生き方」「幸福な生き方」を模索することと言うこともできるでしょう。

「幸せ」とはなにか

 ウェルビーイングと深い関係があるといわれているのが、ポジティブ心理学です。

 これまでの心理学は、人間のネガティブな面に焦点を当てた「マイナスをゼロにする」アプローチが主でした。一方、ポジティブ心理学は人間のポジティブで前向きな側面に焦点を当て、病んだ心を治すことよりも、どうすればもっと幸せになれるのかという観点から人々の人生をより充実したものにすることを目的としたものです。

「ポジティブ心理学」という言葉を最初に使ったのは、5段階欲求説を唱えたマズローだと言われていますが、ポジティブ心理学を広く世に知らしめたのは、うつ病と異常心理学に関する世界的権威であった米国の心理学者、マーティン・セリグマンです。セリグマンは人間の不幸な状態を克服するだけでなく、どうすれば通常の状態からより幸福になれるかということを深める理論を構築し、2011年の著書『Flourish:ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続的幸福”へ』の中で、ウェルビーイングに基いた「幸福」には以下の5つの要素(PERMA)があると記しました。