熊本城二の丸駐車場(熊本市)で行われた東京五輪・聖火リレーの様子(写真:UPI/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

五輪開催の意義を語れない首相

 6月24日、都内で行われた中国映画「唐人街探偵 東京MISSION」の公開直前イベントで俳優の三浦友和さんが「ずっと、おかしいと思っているのは、何で、ずっとオリンピックやろうと思っているのかな、この人達」と東京五輪の開催に疑問を呈したという。三浦さんが何よりも強調したのは、「理由を話してくれない。理由も教えてくれないのは、なぜなんだ? これを何とかしてほしい」ということだった(日刊スポーツ)。

 もっともな意見である。菅義偉首相、丸川珠代五輪相、橋本聖子組織委員会会長から、まともな話を聞いたことがない。出てくるのは「平和の祭典」だとか、「絆」などという抽象的な言葉だけだ。

 JOC理事であり、柔道家の山口香さんは、コロナ禍での五輪開催に懸念の声を挙げ続けてきた。その山口さんが朝日新聞(6月23日付)のインタビューで次のように述べている。

〈五輪は平和の祭典といわれますが、五輪をやったら世界が平和になるわけではない。平和に向かうために、意見が異なる人とも対話して落としどころを探っていく。五輪が国民を置き去りにしたイベントになれば、そもそも誰のための五輪なのか。〉