中国がパンダを外国に贈る際は政治的な狙いがある(資料写真/Pixabay)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 パンダは日本に限らず全世界の人気者である。中国政府はそのパンダを自国の外交戦略として使っている。このほど中国の「パンダ外交」の実態を明らかにした調査報告が米国の大手研究機関から公表された。

 同報告によると、中国政府は貿易の主要な相手国や外交の重大案件を抱えた相手国に対して、中国への善意や友好的感情を抱かせるためにパンダ外交を熱心に展開してきた。だが、その効果は一時的、あるいは限定的で、実際の効力はあまりないようだと総括している。

 ワシントンの有力シンクタンク「AEI」(アメリカン・エンタープライズ・インスティテュ―ト)は6月中旬、「パンダ 中国の最も人気ある外交官」と題する調査報告を発表した。

 同研究所の中国研究専門部門のリンダ・ザン研究員が中心となって作成されたこの報告は、中国の歴代政権がパンダ(ジャイアントパンダ)を対外的な活動の材料に使ってきた歴史を振り返り、とくに1957年から現在にいたるまでに実行した諸外国へのパンダの贈呈や貸与による外交的狙いについて分析していた。中国政府によるパンダの各国への贈与や貸与は、実際には中国政府の計算された外交目的に基づくとして、その実態に光を当てている。