今年3月31日、ヤンゴンでのデモの最中に、国軍からの攻撃を受け、走って逃げる市民(写真:AP/アフロ)

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は6月11日、クーデターで民主政府から政権を奪取したミャンマー軍が反軍政、民主化要求の運動を続ける市民に対し、実弾発砲を含む強硬手段で弾圧を続けていることに関連して、ミャンマーの現在の人権状況を「破滅的な大惨事」であるとして、軍を厳しく非難した。

 これはミャンマーの地元メディア「ミッジィマ」がAFP電として6月12日に伝えたもので、UNHCRのミシェル・バチェレ弁務官は「ミャンマーで起きている危機的な人権状況を改善する責任は軍政にあり、いかなる政権といえども国民を守ることが求められている」と声明の中で軍政に人権状況の改善を求めている。

拘束者の居場所や状況、待遇なども明かされず

 UNHCRは信頼できる情報源から得たとして、2月1日のクーデター発生後にこれまでに反軍政デモや活動に参加した市民(子供を含む)など少なくとも860人が殺害され、民主活動家やジャーナリスト、一般市民など少なくとも4804人が不当に現在も身柄を拘束されているとの数字を明らかにしている。

 拘束されている人々の大半については、その拘束施設の場所、拘束施設での状況、待遇などが一切明かされておらず、家族や知人が拘束者の安否を気遣う状態が続いている。

 そして拘束場所では拘束者に対する暴力行為、拷問などの人権侵害、さらに拘束者の家族への脅迫なども続いているともUNHCRは指摘している。