サイボウズ副社長の山田理氏(写真提供:サイボウズ)

(吉田 典史:ジャーナリスト)

 今年(2021年)3月下旬から4月上旬にかけて、サイボウズに関する記事がネット上などで話題となった。コメントは賛否がわかれたが、双方ともに誤解や事実誤認が多いように感じられた。

 その記事とは、同社が昨年秋に取締役を社内公募したことを報じたものだ。全社員(約860人)のうち自薦で名のりをあげた社員を全員候補者として取締役を選ぶという仕組みだ。その結果、23歳から52歳までの17人が選ばれ、就任した。中には新卒1年目の社員もいた。取締役の人数は経営陣中心の3人から17人に増えた。前取締役2人は退任した。

 多くの新聞やテレビは、新卒1年目の社員が選ばれたことに焦点を当てて報道したが、ここに誤解を招く原因があったと思われる。そこで、取締役社内公募の立案者の1人である副社長の山田理(やまだ・おさむ)氏に、背景や本当の狙いについて話を聞いた。

役割を明確に分けるべき「執行役員」と「取締役」

──賛否両論のコメントの中には、経験の浅い社員を取締役にすることに否定的な意見がありました。これは私見ですが、確かに若い人は社内外の経営に関することの判断能力が必ずしも高くはないと思います。そのような人に取締役は務まるのでしょうか?