米空軍のFA-18戦闘機に空中空輸するKC-135(2021年5月28日撮影、米空具のサイトより)

 南シナ海の南沙諸島海域で、中国は、領域拡大のためにこれまでと異なる方法で新たな行動を始めた。

 その方法は、漁船や軍用機を使用した陽動作戦である。この裏には、新たな企みがある。

南シナ海と南沙諸島

出典:日本大百科全書(ニッポニカ)

 南沙諸島での中国の行動について、長期にわたる分析を行った。

 ベトナムやフィリピンなどの周辺諸国が島や礁を占有していた。そこで、中国は1988年頃、周辺諸国が占有していない低潮時にしか水面上に出てこない岩(干出岩または低潮高地)を占拠した。

 1989年頃、中国の開放軍報などに、人間よりも小さい岩の上に石碑を建て、一人の兵士が膝まで海面に浸かって、中国の旗を立て、小さな小屋を建てて、監視を継続する写真が掲載された。

 取ったものは、しがみついて放さないといった表現が適切だろう。

 当時、ベトナムの関心は高かったが、日本や米国の政策決定者たちの関心は極めて低かった。

 日米が関心を持つようになり、メディアが報道するようになったのは、中国が占拠した干出岩を、大規模に埋め立て始めてからだ。