ワクチン協力も

 韓国の大企業による米国内での大規模投資は、米政府にとってはもちろん歓迎だ。

 首脳会談で「実利」を得て発表したいのは韓国側も同じだ。

「経済」は実利の中でも最も重視する項目だが、今回は何だったのか?

 韓国政府が強調したかったのは、新型コロナワクチン分野での協力だ。

 文在寅大統領は帰国直前の5月22日午前、ワシントン市内のホテルで開かれた「米韓ワクチン企業パートナーシップ」の会合に参加した。

「ワクチン確保で後れを取った」――韓国内でこんな批判を受けていた韓国政府は、今回の訪米を通してワクチンの大量確保も狙っていたとの見方が多かった。

 韓国内では大統領の訪米前には、米政府がワクチンを韓国に供与する可能性があるという報道もあった。

 結局、米政府から直接ワクチンを大量に供給してもらうことにはならなかったが、「企業協力」にはこぎつけた。

 この席で、米韓企業が新型コロナワクチンの生産や開発で協力することで合意したことが発表になったのだ。

 この会合に参加したサムスンバイオロジクスと米モデルナのCEOが、モデルナのワクチンをサムスンバイオロジクスが7~9月中に韓国で生産することで合意した。

 文在寅大統領は2人のCEOとともに写真撮影して成果を強調した。

 さらに、すでに米ノババクスのワクチンを韓国内で生産することで合意しているSKバイオサイエンスは、ノババクスと新たにワクチン開発で協力することでも合意した。