優秀で自立したように見える若者だが・・・
かたや今の若者は自立心が強い。
納得いかないと思えば、2~3年ですぐに辞める人もいる。会社にしがみつかず、転職を率先して考える人が多いのは、組織にしがみつくおじさんたちと同じ轍を踏みたくないからだろう。
どの会社に行っても通用するように、自分の腕を磨き、自身の市場価値を高めることに専心している。経済観念も優れている。どうせ豊かにはなれない時代だからと割り切って、若いうちから貯蓄して、堅実な人生を歩もうとしている。
勤める先も、これからの時代、手に職がつくと言われるIT業界や、景気の浮き沈みの影響を受けにくい食品や生活必需品など安定した業界などを真剣に考えている。
それぞれの事情があるにせよ、流行りの業界に入り、ハードルの低くなった転職を大いに活用し、変化を享受しているように見える。
しかし、私はそんな若者が心配でならない。
彼らはどこに向かって歩んでいこうとしているのか。今の若者は、“できないおじさん”と一体何が違うのか。
変化したかに見える彼らの本質は、実は漫然と社会の目先の風潮に流されてきたおじさんと同じではないのか?
そもそも全ての産業はシクリカル、すなわち景気循環や構造変革などにより絶え間なく盛衰を繰り返すものなのだ。うちの学校で講義している世界的エグゼクティブは、7~8年前から「GAFAもいずれ規制され勢いを失うときが必ず来る」と言い続けてきた。まさに昨今の規制強化を先読みしていたのだが、もしかして今の若者たちは時流に流されピークを迎えたITを高値掴みしてはいないだろうか。