「これがうちのマティスさ。とぼけた猫でね」と、猫自慢は延々と続きました。やっとつかんだタイミングで「マティスって、素敵な名前。アンリ・マティスからつけたのですか」と口を挟むと、今度は巨匠マティスに対する敬愛の思いをとうとうと語りだしてしまいました。

 町歩きを終えて、ポルゲーゼ公園でひと休み。深呼吸をしながらのんびりと歩くことにします。

 すると、珍しいプーリーという種類の犬が現れました。

 2匹でじゃれあう様子は、ねずみ花火が弾けているようでした。頭の上までが60センチくらいの大きさです。

 飼い主の男性に、話を聞きます。「この2匹は、母親と息子なんだ。プーリーはもともと牧羊犬だから、心と体の健康のために運動が不可欠。外で遊ばせるのが飼い主の役目さ。うちの庭は狭いから、毎日仕事が終わると、ここへ連れてきて、2時間くらいは遊ばせているよ」。

 飼い主の男性が言う言葉をすべて理解し、即座に命令に従うとのことです。

 男性は頭の毛をかき上げて目を見せてくれましたが、すぐにまた毛で覆われてしまいました。

 しばらく一緒に歩かせてもらうと、すれ違う犬がビックリして、目をパチクリさせていました。犬から見ても、不思議な外見なのでしょう。

 猫も彼らの姿を見て足を止め、いぶかしそうに見つめていました。

 後編はミラノを経由して、地中海沿岸のリヴィエラに向かいます。
強風にめげずパトロールするリヴィエラの老猫
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64997

※ローマへの行き方
 東京(羽田空港、成田空港)-ローマ間、東京-ミラノ間には直行便が就航しています。1回の乗り継ぎなら、イスタンブール(トルコ)、アムステルダム(オランダ)、フランクフルト(ドイツ)、ヘルシンキ(フィンランド)などを経由して行けます。

 ローマとミラノの間は、特急列車で約3時間半。国内線フライトなら約1時間15分ほどです。