1年ほど前、中国から輸入された冷凍ギョウザを食べた消費者が中毒症状を起こし、日本人の食生活を一変させた。その後の調べで、冷凍ギョウザにメタミドホスという毒性の高い化学薬品が混入されていたことが分かった。しかし、その真相は未だ明らかになっていない。

 その後、日本では中国産食品の輸入が激減し、スーパーでは中国産の冷凍食品はほぼ完全に姿を消した。一部の料理屋では、「当店では中国産食材を使用していません」という表示まで現れている。

 中国からの輸入品が食の安全性を脅かしているのは事実だが、意図的に不安を煽るのは生産的ではない。何よりも、中国自身も食品安全性の危機により深刻な被害を受けている。ここで重要なのは、原因を明らかにし、対策を考えることである。

中国は食の先進国

 おそらく世界で中国人ほど食を大事にする国はない。世界中に「中華街」が点在しているが、それは要するに「中華料理レストラン街」である。

 イギリス人は世界を旅してカネを使い切ったら、英会話スクールで英語を教えれば、食いつなげられる。それに対して、中国人の場合、フライパン1つあれば、どこでも生きていけるだろう。麻婆豆腐やエビチリといった中国料理を数品作れば、中国料理屋になれるからだ。

 広東省では自分たちの食文化を誇りとして、次のように言う。「四つ足のものは机と椅子以外何でも食べる。空を飛ぶものは飛行機以外何でも食べる」

 筆者はさらに「水の中を泳ぐものは潜水艦以外何でも食べる」と付け加えたい。中国料理は考えられるありとあらゆる食材を使って料理を作る。

 世界的に見て、米国が軍事の先進国であるとすれば、日本は技術の先進国と言える。それに対して、中国は料理に関しては間違いなく先進国である。