水不足を解決する「海水淡水化プロジェクト」

 ひとたび水不足に陥ると影響はその地域に長期にわたって及びます。水の使用を減らすと同時に、新たに水を造り出すことも必要です。ひとつの方法が海水を真水に変える海水淡水化プロジェクトです。

 地球の水の97.5%は海水として存在しています。海水を真水に変えることができれば水不足に悩む必要はなくなりますが、この解決法はコストが高く、水の消費量のすべてを海水の淡水化で置き換えることは現実的ではありません。

 中東、北アフリカ、中国、インドなど、水が非常に貴重な地域、最も必要とされる地域、水ストレスが高い地域では海水の淡水化が生きてくることになります。

 海水を淡水に変えるには、蒸発式と逆浸透膜式があります。前者は海水を蒸発させて水蒸気を冷やして真水を得る方法で、多くのエネルギーが必要になります。後者はフィルターで海水をろ過する方法で、エネルギーは少なくて済みますが、設備に多くの費用がかかります。

 東レ(3402)、日東電工(6988)、東洋紡(3101)の逆浸透膜が海水をろ過する際に欠かせないフィルターとして世界中で使用されています。

 海水淡水化市場は4兆円規模と見られています。このほかに水に関連する市場には上水事業で38兆円、下水事業で35兆円、工業用水6兆円、再利用水2兆円があると見られます。水処理セラミック膜ろ過装置のクボタ(6326)、衛生トイレのTOTO(5332)、水処理に欠かせないポンプの荏原(5631)、水処理装置、薬品の栗田工業(6370)などが注目されそうです。

日東電工(6988)/クボタ(6326)月足、2008年~
日東電工(6988)/クボタ(6326)月足、2008年~
栗田工業(6370)/荏原(6361)月足、2008年~
栗田工業(6370)/荏原(6361)月足、2008年~