「児童労働撤廃」の世界の約束、分水嶺となる2021年
2021年は、何の年と言えるだろうか。東京オリンピック・パラリンピックの年、東日本大震災から10年の年、米国同時多発テロから20年の年など様々な節目となる年だ。しかし忘れないでほしいことが一つある。2021年は国連の定める「児童労働撤廃国際年(the International Year for the Elimination of Child Labour)」だということを。
サステナビリティの分野にはいくつもの「世界の約束」がある。SDGs(持続可能な開発目標)の主なゴールの達成年は2030年。カーボンニュートラル(CO2排出ネットゼロ)の主要な達成年は2050年。国内でも2020年10月に菅総理が臨時国会で宣言し、大きな注目を集めた。しかしどれもまだ少し遠い未来のこととされ、一般に危機感や焦燥感は薄い。
実は、私たちの目前に最も迫っているのが、「2025年までにあらゆる児童労働を撤廃する」という目標だ。SDGsは、他の目標よりも早く達成すべき項目として目標8「働きがいも経済成長も」のターゲット7にこれを掲げている。2021年は、この2025年の目標達成に向けてステークホルダーの活動を加速させる年として、国連総会の決議により「児童労働撤廃国際年」に位置付けられた。
約束の年まで、残り5年を切った。欧米を中心に、食品や商社、エレクトロニクスをはじめ、多くの世界大手企業が児童労働撤廃に向けて事業戦略の舵を切っている。日本はこの潮流に追いつけていない。あなたの会社はどうだろう。サプライチェーンを遡った先に存在する児童労働を完全撤廃できる用意はできているだろうか。