
(取材・文:松原 孝臣 撮影:積 紫乃)
選手が合わせなければいけない道具
少しずつ、でもたしかに進んできた。
2010年のバンクーバーオリンピックに出場し8位入賞、2011年の世界選手権で銀メダル。グランプリファイナルでも2度表彰台に上がるなど第一線で活躍し続けた小塚崇彦が愛知県の企業とともに開発し、世に送り出した製品は、フィギュアスケート界に足場を築いていこうとしている。
それは、「KOZUKA BLADES」(小塚ブレード)だ。
他の競技と比べて、総体的に、あまり道具を多く用いないフィギュアスケートにあって、必ず必要となるのはスケート靴だ。
スケート靴をよくよく見ると、靴と、氷と接する金具の部分から構成されていることが分かる。この金具の部分を、「ブレード」と言う。小塚が世に送り出したのがこの製品である。
スケーティング、ジャンプ、スピン・・・氷と直に接するから、あらゆる面で重要な部分がブレードだと言える。
ところがブレードには、大きな課題があった。比喩的に例えれば、「選手が合わせなければいけない」ことだ。
どういうことか。そこにはいくつかの、ブレードの問題が内包されている。