世界が北朝鮮を再び見放していく中、相変わらず一方的なラブコールを送っているのが、韓国の文在寅大統領だ。

 文在寅大統領は1月11日に発表した新年の辞で、「韓半島の平和と繁栄が国際社会にも役立つということを南北は手を携えてともに証明しなければならない」と語った。北朝鮮の金正恩総書記が、党大会で戦術核など対南打撃用兵器の開発を公に指示し、「北南関係は板門店宣言以前に戻った」と宣言した状況下にもかかわらず、である。

 文大統領はまた、「韓半島平和プロセスの核心動力は対話と共生協力」だとして「いつであろうと、どこであろうと会い、非対面の方式でも対話できるという我々の意志は変わらない」とも語った。

脱北者の息子、文在寅の悲しき性

 これは有名な話だが、文在寅大統領は北朝鮮からの避難民の息子である。両親と姉が、朝鮮戦争の最中に米国の貨物船に乗り、韓国へと脱北してきたのだ。父親は、巨済島捕虜収容所で労働者として働き、母親は鶏卵売りの行商で生計を立てた。家は非常に貧しく、トウモロコシのお粥の給食が一日の食事のすべて。月謝が払えず授業中に教室から追い出されたこともあったそうだ。

 そんな生い立ちからか、彼は北朝鮮に非常に執着している。

 文在寅大統領は、大統領選挙の前から北朝鮮に対して融和的な姿勢をとることをアピールしてきた。大統領就任後、自ら挙げていた公約は見事に失敗続きだが、対北朝鮮への片思いだけは全くぶれることがない。彼の中で軸がずっしりと通っているようだ。

 2020年5月31日、韓国の脱北者らが作る民間団体が、南北軍事境界線付近から北朝鮮に向け、金正恩体制を批判するビラおよそ50万枚を、水素ガスで膨らませた大型風船を用いて飛ばした。この中には、金正恩総書記の妹である金与正氏の卑猥なアイコラも含まれており、それを見た本人が大激怒した(このアイコラは、日本のネット上にあったアイコラで、股を広げた金与正氏を文在寅大統領が覗いているというものだった)。

 金与正氏は韓国政府に対する最初の報復措置として、6月9日に南北間の通信連絡線の遮断を決定した。その後、13日には軍事行動を示唆、16日には開城にある南北共同連絡事務所を爆破している。2018年の板門店首脳会談の結果として設置された南北首脳間のホットラインは、一度も稼働したことがないまま木っ端微塵となった。

 韓国の脱北者らが行ったこのビラ撒き行為に対し、金与正氏が「南朝鮮はくずたちの茶番劇を阻止する法律でも作らなければならないだろう」などと激烈な談話を発表。それを受けた文在寅大統領はすぐさま行動に移す。

 12月14日に南北関係発展法を一部改正し、北朝鮮に対する「ビラ散布」を禁止する法律(以下、「ビラ散布禁止法」)を本会議で可決した。文在寅大統領は、対北朝鮮のこととなると、尋常ではない速さで法律まで改正させる。