(花園 祐:上海在住ジャーナリスト)

 筆者が中国で働き始めてから長い年月が経ち、会社でも周りからすっかりベテラン扱いされる年齢となりました。今や日本で働いていた期間よりも中国に来てからの年数のほうがはるかに長く、仕事をするにあたっての習慣や価値観は、中国の基準の方が筆者にとって常識となっています。

 そのせいか、日本の労働習慣や法制度を見るにつけ中国との違いに驚かされることが増えています。特に最近気が付いて愕然としたことがあります。それは、「日本では整理解雇時に一時金の支払基準がない」という事実です。中国人の知人にそのことを話すと、「まだそんな国があるの?」と驚かれました。

 日本国内では一般的に「日本は従業員の解雇規制が厳しい(=解雇が難しい)」と考えられています。しかし中国の基準に慣れた筆者からすると、日本はむしろ解雇規制が緩すぎる国に映ります。特に法整備の遅れぶりは目に余り、正規雇用と非正規雇用の格差拡大にもつながっているように見えます。

 そこで今回は、日中の解雇規制制度の比較を通して、日本の雇用制度の改善すべき点を考えてみたいと思います。