連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第30回。新型コロナウイルス感染症自体は軽症でも、重い後遺症に苦しんでいる人は多い。しかも、精神的・経済的にも追い詰められている。平畑光一・ヒラハタクリニック院長に、讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)が“軽症者の後遺症の実態”を聞く。2回シリーズの後編。前編はこちら。(ヒューモニー)

 新型コロナウイルス感染症自体は軽症でも後遺症は重くなる場合があること、症状が非常に多彩で、かつ各種検査で異常が見つかりにくいこと、若い世代、とくに女性に後遺症患者が多いこと・・・。前回は軽症者の後遺症とはどういうものなのかを平畑光一・ヒラハタクリニック院長に伺いました。

 もっぱら重症患者を診療している私は、集中治療後症候群(PICS)患者の電話フォローはやっていますが、軽症患者の後遺症を診療する機会はありませんし、時間的にも難しい。そして自分は集中治療医。急性期には強くても慢性期は弱い。専門の医師にお任せするのが一番です。

 一方、後遺症患者が増え続ける中、後遺症に関する研究をしたり、論文情報を発信することも重要ですが、即効性がありません。実際に苦しんでいる患者の受け皿はあるのだろうか、受け皿を作りたいがどうしたら良いのだろうか、結局自分は何もしていないのではないか、と忸怩たる思いを持っていました。

 そんなとき、後遺症外来を開設して軽症患者の後遺症を数多く診ていらっしゃる平畑先生の存在を知り、自分に何かお手伝いできることはないか伺ってみようと、取るものもとりあえずクリニックを訪問させていただきました。

 今回も引き続き平畑先生に治療法や社会が取り組むべき課題についてお話を伺います。

平畑光一(ひらはた・こういち)
2002年、山形大学医学部卒業。東邦大学医療センター大橋病院消化器内科などを経て、現在、医療法人創友会ヒラハタクリニック院長。旧通産省第一種情報処理技術者。医療用AIの開発などにも携わる。