「イノベーション」を起こせる企業の特徴とは
積極的に市場開拓に臨み、閉鎖的なローカルルールを排除できる企業が「イノベーションを起こせる企業」だとわかった。それでは、実際にイノベーションに成功している企業に共通する「特徴」をあげてみよう。
・市場変化と時代の流れ対し、常に敏感なアンテナを張っている
誰も思いつかないようなアイディアや、卓抜した経営センスによる閃きだけがイノベーションを生むと思われがちだ。しかし、前述の通り、イノベーションには、自社が長く培ってきた技術を向上させることで起こる「創造的(持続型)イノベーション」や、他社や外部との提携によってまったく新しい価値を創造する「オープンイノベーション」などもある。そして、 「破壊的イノベーション」を起こすことができれば、短期間であったとしても、市場独占によって大きな利益を上げる可能性もある。市場の変化や潮流に敏感であること、常に模索を続けることが非常に大切だ。
・リスクに対する正確な理解があり、適切なアクションがとれる
イノベーションは、「不確実性」と「リスク」が常に隣り合わせだといえる。特に「リスク」は企業の既存事業にも大きな影響を与える可能性があり、企業経営者は判断に慎重になる。しかし、経営陣や管理職がリスクに関して大きな誤解をしている場合がある。イノベーションを起こすには経営資源の先行投資は不可欠だ。財務状況を分析し、不確実性やリスクが高い場合は「何もしない」という選択肢を選びがちだ。しかし、これでは市場にイノベーションが起きた際には他社に出遅れ、売上・利益は獲得できない。さらには、既存事業からも撤退せざるを得なくなるかもしれない。経営層による「リスクの正確な理解」と、「適切なアクション」は、企業がイノベーションを起こす第一歩だ。
・社内外でのコミュニケーション環境が整っている
「イノベーションを起こしやすい労働環境」というものがある。そのような環境構築のためには、企業側がイノベーション人材をきちんと支援する体制をとることが非常に大切だ。特に、「コミュニケーション環境」を整備することが最も重要な必要条件となる。潜在的な顧客ニーズを検知し、実現するための技術革新ができた時、イノベーションが生まれるという。そのため、イノベーションを担う人材には、積極的に顧客と会話する自由や、テストマーケティングが行なえるような「コミュニケーション環境」が必要だ。また、社外とのコミュニケーションだけでなく、社内でも他事業部間でコミュニケーションを活発に行わせることも、イノベーションを成功させる道である。
今後の予測が困難な時代となり、企業のこれからの存続、継続的な成長に「イノベーション」は欠かせない。一見すると理解していると思いがちな言葉の意味や定義、実際に企業が取り組むうえで大切な姿勢と解決すべき課題を本記事では取り上げた。重要なのは、ある企業に成功をもたらしたイノベーションが自社にも通用するとは限らないということだ。多様な定義から自社に必要なものを見つけ、解決すべき課題にフィットする「イノベーション」を創造することが肝要である。
著者プロフィール HRプロ編集部 採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。 |