株式会社リクルートキャリアは2020年9月、新型コロナウイルス禍での仕事に関する調査結果を発表した。調査期間は2020年8月7~10日で、全国の20~60代の就業者948名から回答を得た。これにより、緊急事態宣言前後のテレワーク経験や、キャリアに関わる意識変化が明らかになった。

東京都は7割以上がテレワークを行ったのに対し、44府道県では4割弱にとどまる

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、人々の働く環境や仕事に関する考えはどのように変化しているのだろうか。はじめに、「緊急事態宣言下でのテレワーク経験」について聞いた。その結果、テレワーク経験者は全体の48%と半数以下だった。

 ただし、生産年齢人口の多い東京都では71.1%、神奈川県では63.8%、大阪府では64.8%と、全体と比較して高かった。なお、「東京、神奈川、大阪」を除く44道府県では38.5%となり、最も経験者の割合が高い東京とは32.6ポイントの差が開く結果だった。

自己判断でテレワークを行えるようになった人は約6割が満足度を感じている

 続いてテレワーク経験者に、緊急事態宣言解除後の働き方の変化について、「自己判断で自由にテレワークできるようになった」、「週●日は出勤など、会社基準で出勤割合が決まった」、「テレワークから通常勤務に戻った」の3つから該当するものを選んでもらった。

 すると、「自己判断で自由にテレワークできるようになった」という人は、合計66.1%が「良かった」と回答した(非常に良かった:15.7%/良かった:50.4%)。その一方で、「週●日は出勤など、会社基準で出勤割合が決まった」という人や「通常出勤に戻った」という人の満足度は低くなっている。特に、「テレワークから通常勤務に戻った」と回答した人については、「良かった」と回答したのは合計24.3%に留まっている(非常に良かった:7%/良かった:17.4%)。

 テレワーク経験者のフリーコメントでは「時間を有効に使えるようになり、業務効率が上がった」、「緊急事態宣言後は誰でもテレワークを取りやすくなった」、「会話が減少したことで意思の疎通が図りにくくなった」などの意見があがった。

転職を検討している人の過半数が「コロナ禍はキャリアの再考に影響があった」と回答

 また、「コロナ禍の影響により、自身のキャリアを見つめ直したり、考えたりしたか」と質問すると、「転職を検討、または転職活動をしている人」の58.8%が「はい」と回答した。なお、「転職を検討していない人」で「はい」と回答したのは17.3%のみで、41.5ポイントの差があった。

コロナ禍で変化した仕事選びのポイントは?

 さらに、先の設問の転職検討者で「コロナ禍によりキャリアを見つめなおした」と回答した人に、仕事選びで重視する項目を聞いた。この設問では、入社時(過去)と現時点の変化を探るため、それぞれのタイミングで重視する(重視した)ものを選択してもらった。変化が最も大きかった上位3位は、順に「給料が高い」(+15ポイント)、「テレワークが認められている」(+14.4ポイント)、「副業が認められている」(+10.8ポイント)となった。

 なお、現時点で重視している割合が高い上位3位は「給料が高い」(47.4%)、「プライベートの時間を十分確保できる」(44.1%)、「やりたいことを仕事にできる」(42.6%)の順だった。

 新型コロナの感染拡大を受け、テレワークなど新しいワークスタイルを取り入れ、実際の働き方が変わった人も多い。また、それに伴い、人々の志向やキャリア意識にも影響があったことがうかがえる。Withコロナ/Afterコロナにおいて、企業は人々の意識変化に対応した、柔軟な働き方ができる体制を整える必要があるだろう。

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HRプロ編集部

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