「電子契約」を実現するにはどのような方法を用いればよいか
「電子契約」を実現するには大きく分けて2つ方法がある。
・文書作成アプリで作る
「Microsoft Word」や「Adobe Acrobat」など、一般的な文書作成アプリで契約書を作成することができる。単発での契約業務には、必要な条項などがカスタマイズできるので有効だ。ただし、メールの送信や保存、閲覧の際にはどこに格納されているのか、いつやりとりをしたかなどを確認する必要があるため、手間がかかる場合もある。
・「電子契約」専用のシステムを使う
クラウドの電子契約サービスが増えており、文書作成アプリを使ってイチから文書作成したり、自社でシステムを開発したりするより、一般に提供されているサービスを利用する方が簡便だ。
「電子契約」のメリットはコスト削減やコンプライアンス遵守
「電子契約」を導入するうえで気になるのがそのメリットだ。大きく分けて3つ紹介する。
(1)コスト削減
紙・印刷費、郵送費用(発送・返送の切手代など)、保管にともなう資材・スペース、管理に関わる人件費などといった、紙の契約書に関する経費を削減できる。
(2)コンプライアンス遵守
誰がどんな契約書の締結を進めているか、あるいは何を持ち出したかを把握でき、サービスによってはさらに進んで、誰が閲覧したかのログも確認することができる。
また、自然災害などの有事の際、パソコンの汚損や焼失・紛失が起きても、遠隔地にバックアップしておけば、コピーデータを復旧でき、完全になくなることがほとんどない。そのため、災害や人為的ミスによる契約書の紛失・情報流出のリスクを軽減できる。
(3)業務効率化
契約締結から保管にかかる業務を大幅に削減でき、印刷や郵送が不要で、契約書のやりとりにかかる時間も大きく短縮可能。例えば、監査の際の契約書の確認も、サービスの検索機能を利用すれば容易になる。また、電子署名ができれば、リモートワーク中にわざわざ押印のためだけに出社することもなくなり「ハンコレス」が実行できる。
「電子契約」のデメリットは?
一方、「電子契約」にはどのようなデメリットが発生するのだろうか。
(1)業務フローの変更が必要
今まで紙で行っていた契約書締結や保管業務に関するフローは完全に変更することになる。導入前には、関係者・関係部署への説明や、説明資の料作成、導入後も、社内外への業務フロー変更の周知が必要になる。そのため、電子契約に切り換えてからしばらくは付帯業務が発生する可能性が高い。
(2)相手先にも仕様変更の合意を得なければならない
自社だけでなく、契約相手である取引先もサービス利用に合意してくれないと、電子契約は行えない。そのため、関係者への説明、社内規則の整備が必要なため、担当者は作業が増えてしまう場合がある。また、サービス利用料にも注意が必要だ。導入した企業以外(取引先)は無料とするサービスは多く、利用料が不要なサービスを選んだ方が取引先の理解を得やすいだろう。
(3)形式が違う契約書が混在してしまう場合がある
契約によっては「必ず書面が必要」と法律で義務付けられているケースもあるため、電子契約とあわせて紙での契約業務も必要な職種が存在する。業務が複雑化し、かえって手間が増える場合もあるので、要注意だ。