先日、ルネサス エレクトロニクスが那珂工場(茨城県ひたちなか市)の復旧状況を報道陣に公開したが、この話題がさっそく米ニューヨーク・タイムズや米ウォールストリート・ジャーナルなどの海外メディアで取り上げられている。
ルネサス エレクトロニクスは2010年の世界半導体売り上げランキングで第5位。自動車向けマイクロコントローラー(マイコン)の生産では世界で40%のシェアを持ち、被災した那珂工場ではそのうち25%を生産している。
つまり今は同工場の操業停止で、世界の自動車向けマイコンの10%の供給が止まっている状態。その復旧状況は海外メディアも高い関心を持って注目しているが、その論調は国内メディアの多くの報道とは少し違うようだ。
ルネサスの那珂工場は、震災で天井が落ちたり、壁が崩れたり、心臓部に当たるクリーンルームの空気浄化システムが損傷したりして操業停止した。現在は取引先の自動車、電機、装置メーカーなどから最大約2500人の支援を受け、24時間態勢で復旧作業を進めている。
6月15日に一部ラインで生産再開する見通しだが、当初の生産量はフル稼働時の1割程度で、全面再開の時期についてはめどが立っていない。
事業統合で1社に依存する構造に
ルネサスの主力工場が操業を停止したことで、国内の自動車メーカーはもとより、海外メーカーでも生産停止が相次いているが、ニューヨーク・タイムズは、「こうした事態は、ルネサスの背景が絡んでいる」とし、同社の成り立ちを紹介している。
ルネサスの前身が日本の大手エレクトロニクスメーカー3社だからだ。
同社には、日立製作所と三菱電機の半導体部門が2003年に事業統合して「ルネサス テクノロジ」が誕生し、その後2010年4月にNECエレクトロニクスと合併して現在の「ルネサス エレクトロニクス」になったという経緯がある。