10月1日、日本学術会議が会員に推薦した研究者が内閣によって任命されないという、日本の高等学術史上、前代未聞の出来事が報じられました。
以下に記すように、朝日新聞出版が発行する「AERA」も、火のない所に無意味な煙を立てるような真似はさっさと撤回し、本当に重要な問題を直視するよう、目を覚まさねばなりません。
かつては「朝日・岩波・NHK」といえば、日本のオピニオン・メディア、知の良心として知られたメディアだったように思います。
岩波文化人などと言う言葉もありました。私自身、この3つのメディアと30年来長い縁があります。
朝日は寄稿もさせてもらい、四半世紀が経過しますが、特にAERAについてはオウム真理教事件の折にはブレインとして連載を支えました。担当していた井原圭子記者は元同級生で、のちのAERA編集長も務めています。
NHKはニュースのテーマや教育テレビ「芸術劇場」など、かつての看板番組の音楽を担当しましたし、岩波も「科学」「思想」2つの看板雑誌で長年連載を持たせてもらいました。
現時点では岩波書店は関係ないのですが、とりわけAERAについては、大いに疑問符をつけざるを得ない報道を目にしてしまいました。
私の所属する指定国立大学法人、東京大学に関する大誤報がありました。まず、あまりにあからさまな誤報から検討してみます。
国立大学法人に存在しない「総長選挙」
9月25日付「AERA」編集部「石田かおる」名義の誤報、実物から確認してみます(https://dot.asahi.com/aera/2020092500054.html)。
原文を引用しましょう。
「東京大学では五神(ごのかみ)真・総長の来年3月の任期満了に伴い、9月30日、次の総長を選ぶための、教員による大規模な選挙が予定されている」
この石田かおる記者が、社員専従なのか、外注のライターなのかは知りません。
しかし、最低限の裏とりすることなく、入稿できてしまうこと、そしてそれがトンネルしてしまうデスクであるのは、朝日本紙に多数存在する同級生や後輩、教え子たちとも話し、大恐縮されました。
よろしいでしょうか?
指定国立大学法人・東京大学に、2020年時点で「教員による」「総長を選ぶための」「選挙」という制度は存在しません。