マカオのカジノホテル、ホテル リスボア。マカオは脱カジノが長期的課題だ(2020年1月、筆者撮影)

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 2018年7月にIR(統合型リゾート)実施法が成立した際、2年後にカジノリゾート施設が日本で初めて開業するのではないかと、関係者の間で期待が高まった。だが、2019年12月に秋元司衆議院議員(元IR担当副大臣)が収賄容疑で逮捕され、IR開発計画は暗礁に乗り上げる。

 さらに新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態が発生し、日本進出を目論んでいた米国、マカオ、香港の外資大手カジノ事業者が相次いで日本での事業計画から撤退。今や「IRはもう無理」との声も聞こえてくる。

「クラスターの温床」になりかねないカジノ

 カジノは「超3密」の世界である。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、今年(2020年)1月に中国・武漢市がロックダウンされる10日ほど前、筆者はマカオ(中国・マカオ特別行政区)にあるホテル リスボアを訪れた。いわゆる典型的なカジノホテルである。エントランスの扉を開けると、視界の奥まで無数のバカラテーブルが配置されており、それぞれのテーブルを囲むように黒山の人だかりができていた。まさに蟻集(ぎしゅう)といった表現がふさわしい。

黒山の人だかりを見せていたマカオのカジノホテル。この10日後、中国・武漢が封鎖され、中国人旅行者は姿を消した(筆者撮影)