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 語学ビジネスの市場規模が拡大し続けている。従来の大学入試や留学、ビジネス英語に加えて、最近は幼児向けなども登場、市場規模は約9000億円規模にまで膨れ上がった。

 そうした中で特に成長著しいのが、成人向けの英会話スクール。現在はコロナの影響で減ってはいるが外国人旅行客や、今後のオリンピックや万博で訪日外国人が増えることを見越して、大人の間で英会話力取得のニーズが増大していることが背景にある。この成人向けの語学教室市場は約2000億円規模とみられているが、その中でも、研修や教室で英語講師がティーチングする従来の業態に加え、3年ほど前から「パーソナルトレーニング型」と呼ばれる英会話スクールが存在感を示し始めている。

 著名なのはRIZAPグループが展開する「RIZAP ENGLISH」(以下、RIZAP)だろう。トレーナーがついて、食事やトレーニングメニューをマンツーマンで指導する、あのスポーツジムの方式を英会話にも持ち込んだものだ。これが「パーソナルトレーニング型」英会話スクールの特徴だ。

 同様なスタイルの事業者には、業態の草分けとして知られる「TORAIZ」をはじめ、「プログリット」や「Study Hacker ENGLISH COMPANY」などがある。概ねこの4社がトレーニング型の4強と目されている。

伸長著しい「パーソナルトレーニング型」英会話スクール

 パーソナルトレーニング型は、「コーチング系」とも呼ばれ、「コンサルタント」と呼ばれるコーチの指導の下、英語を習得していく。2~3カ月の短期集中型から、「英語習得のためには必須」とされる1000時間のトレーニングを見越して、1年間のコースを設けるものもある。受講生一人ひとりに密着し、それぞれの実力や目標に向けてメニューを考えたりする。いわゆる「教えっぱなし」で終わらないため、高い効果が期待できるが、その代わり受講料も少々お高い。概ね月に10万円~16万円程度、3カ月をワンパッケージとすれば30万円~50万円になる。各種ある英会話スクールの中ではいわばハイグレードなクラスと言っても良いだろう。

 この業種はいま、英語を確実にモノにしたいという社会人から支持を集めている。最近は新規参入も増え、百花繚乱の様相を呈しつつある。それ自体は健全なことと言えるのだが、一方で健全とも言い切れない事態が頻出するようになっているのだという。

 パーソナルトレーニング型の英会話スクールの業界団体「日本英語コーチング協会」(JELCA)の理事長・三木雄信氏が言う。

「語学コーチング業界は新興であるため、実はさまざまな面で無秩序の状態にあります。最大の問題は各社の広告手法です。ネットを利用したステマや誇大広告が横行しており、サービスの質を競う環境にはありません。これでは公正な競争など生まれるはずもありません」

 三木氏は、かつてソフトバンクグループの社長室長を務めていた通信業界では知らぬ人はいないという人物。2006年にソフトバンクGを離れ、トライオン株式会社を設立した。同社がコーチング業態の草分け「TORAIZ」の運営会社だ。

 その三木氏が中心になって立ち上げた業界団体JELCAには、すでに大手5社が参加しており、業界シェアは7割に達しているという。JELCAの目下の最大の目的は、消費者を惑わすような広告をなくすことだ。そのため加盟企業でコミュニケーション・ガイドラインを作成し、客観的事実に基づく具体的数値や根拠を示さずに、優位性を意味する「ナンバーワン」や「最高」、「最大」などの用語を表示しないよう加盟各社に働きかけている。