(北村 淳:軍事社会学者)
トランプ陣営は、大統領選レースでの劣勢を挽回するため、対中強硬姿勢を前面に押し出している。8月23日に公表されたトランプ大統領の選挙公約でも、経済的側面と新型コロナウイルス対策における対中強硬政策が明示されている。
軍事戦略における露骨な対中強硬策は、今のところ選挙公約には列記されていない。とはいえ、昨今のトランプ政権による軍事的側面での対中強硬姿勢は目に見えて強まっている。
たとえば、南シナ海での米海軍によるFONOP(公海航行自由原則維持のための作戦)の回数が増加し、米海軍艦艇による台湾海峡通航も頻繁に実施されるようになり、中国沿海域上空への電子偵察機などの接近も露骨になり、台湾への武器売却もますます積極的になり、尖閣周辺海域での中国側の動きにも危惧の念を明言するようになっている、といった具合である。
今後、トランプ政権によってますます強化される安全保障面での対中強硬姿勢は、「台湾への軍事的支援の具体的強化」と「第一列島線上への接近阻止ミサイルとINFミサイルの配備態勢の構築」ということになる。