(柳原 三佳・ノンフィクション作家)
猛暑日が続いています。
8月17日には静岡県の浜松市で41.1度を記録しました。これは、2018年に埼玉県熊谷市で観測された国内最高気温とタイ記録だそうです。
私が住んでいる千葉県は、8月に入ってからというもの雨がほとんど降らず、まさにカラカラの灼熱状態が続いています。
しかし、雨は恋しいのですが、昨年9月9日に襲来した台風15号(令和元年房総半島台風)の凄まじさが今も鮮明に焼き付いており、今年はいったいどうなるのだろうと思うと不安が募ります。
ちなみに、昨年のあの台風は、関東地方に上陸したものの中では観測史上最強クラスの勢力だったとか。とにかく最近は、「観測史上最高」の上書きが続いていて、怖いですね。
台風とタイフーン、知っているようで知らない語源問題
さて、「台風」といえば、たびたび話題に上るのがその語源です。
ご存じの通り、「台風(たいふう)」は英語で「typhoon(タイフーン)」と言います。読み方は、日本語も英語もそっくりですね。
「津波(つなみ)」という言葉については、この日本語がそのまま英語の「tsunami(ツナミ)」になった、ということはよく知られています。
では、「台風」の場合はどうなのでしょう? 「typhoon」も「tsunami」と同じく、日本語がそのまま英語になったと思っている方は意外に多いのではないでしょうか。
実は、今から160年前の幕末、「開成をつくった男、佐野鼎(さのかなえ)」が書き記した『訪米日記』の中に、「そうではない」ことを裏付ける詳細な記述がありました。
そこで、今回は彼の日記の内容をご紹介しながら、日本で「台風」という言葉が使われ始めた時期と経緯について、おさらいしてみたいと思います。