正直、営業を続けていたほうが儲かる
新型コロナウイルスの感染拡大により、ほぼすべての業種が多かれ少なかれダメージを負ったが、もっともダイレクトに影響を受けたのは街の飲食店だろう。
STAY HOME、新しい生活様式といった言葉が浸透すると同時に、人々は外出を控えるようになった。外に出ないのだから、当然、外食もしない。多くの飲食店が苦境に立たされ、止む無く廃業を選んだオーナーも少なくなかった。
そんな中、堅調をキープしていたのがステーキハウス『ミスターデンジャー』。東武亀戸線「東あずま駅」付近に店を構える“下町の繁盛店”である。
「もちろん東京都からの要請に従って3密を避けるように工夫したり、消毒を徹底したりと対策は練りました。店の前の人通りもめっきり減って、さすがに続けていくのは厳しいかな、とも思っていたんですが、店を開ければ毎日、お客さんは来てくれる。
いつもの月と比べたら、やっぱり売り上げは落ちますけど、正直な話、店を閉めて都から補助金や助成金をもらうよりも営業を続けていたほうが利益はあがる。だから休むという選択肢はなかった。3月、4月とそんな状況が続いていましたね」
そう語るのは『ミスターデンジャー』の店主・松永光弘さん。90年代、プロレスラーとして数々の過激なデスマッチを敢行して、後楽園ホールを埋め尽くしたマニアたちを熱狂させた。
いわばレジェンドレスラー。40代、50代のプロレスファンには圧倒的な知名度を誇る男である。
そんな彼が今年7月に久しぶりの新刊、しかもビジネス本を上梓した。『オープンから24年目を迎える人気ステーキ店が味わったデスマッチよりも危険な飲食店経営の真実』(ワニブックス・刊)だ。