インド、ニューデリーにある携帯電話ショップにて(写真:ロイター/アフロ)

 米アップルがスマートフォン「iPhone」の現行モデルの生産をインドで始めたと、米テッククランチが報じた。

インドで生産するメリット

 アップルの取引先である台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の電子機器受託製造サービス(EMS)大手、富士康科技集団(フォックスコン)がチェンマイ近くに持つ工場で、「iPhone 11」シリーズの組立を開始したと、関係者は話している。

 現在の生産能力は限定的で、店頭に並ぶインド製iPhone 11は少量にとどまる。しかし、中国への依存を低減させたいアップルは、インド生産の拡大を狙っているという。

 また、インドに部品を輸入して現地で組み立てて販売すれば、完成品を輸入するのに比べ、関税を2割低く抑えられる。こうして現地生産を増やすことで完成品の輸入時にかかるコストを抑えることができるほか、直営店「Apple Store」の同国でのオープンの条件となっている地場企業からの調達比率を高めることができる。さらに、米中貿易摩擦の影響を軽減することもできると指摘されている。

iPhoneの生産が困難な理由

 iPhoneのインド生産については、これまで前述したフォックスコンのほか、EMS大手である台湾の緯創資通(ウィストロン)がベンガルールの工場などで組立業務を行っていると報じられていた。

 だが、こうしたEMS大手がインドで生産していたのは、いずれも「iPhone SE」「iPhone 6s」「iPhone 7」「iPhone XR」といった1世代以上前の旧モデル。

 アップルはこれまで、同国で現行モデルを生産できる取引先を持たなかった。その要因の1つには、同社の厳しい品質・安全基準があると関係者は話している。